結合と構造

   人間も材料もどんな構造(結果)をもっているかはどんな結合(結合)をもっているかによって決まり、性質や機能を発揮する。これは結合が構造を形成する要素同士の関係性を端的に表すからである。


   化学において強い結合(例えば共有結合)では原子間の関係性は強くなるが、動きにくい。加えて、一度切れるとなかなか再生しない。一方で、弱い結合(例えば水素結合)は原子間の関係性は弱いが、より大きく複雑な構造体を形成できる。再生もする。


   人は欲しがる生き物である。そして寂しがり屋でもある。強い結合を欲しがりがち、かもしれない。そして一旦、強い結合を得たときは注意である。周りとの結合(関係)を放棄した場合、その人の「構造」は味気ないものになるかもしれない。浅い付き合いも人生を豊かにすることを化学は教えている。