要約

    プラスチックごみによる経済への影響が顕著である。特に東南アジアで多く、世界の海洋プラスチックごみの排出量上位10カ国のうち5カ国が東南アジアであるという報告もある。実際、フィリピンやタイなどではプラスチックゴミの多さが原因となってリゾート地が閉鎖に追い込まれた例もある。

    そこでこのような環境破壊および経済へ影響を与えるプラスチックごみからの脱却を目指す機運が高まっている。上記の国々では外資の力も使いつつ、新素材の導入を始めている。多くは生分解性材料である。しかし、現状の確立されたプロセスから製造される材料と比較してコストがかかる。新材料のコスト低減が環境保護やプラスチックごみによる経済への影響を低減するカギである。



     生分解性材料の使用には賛成する。環境破壊の低減や発展途上国の経済発展維持の目的に問題はないからである。社会実装のカギはコストであることも大きな一因である。しかし、加えて検討しなければいけないのはリスク評価である。分解物の生態系への影響は十分に事前検討する必要がある。その検討結果を社会に周知することも重要である。一企業に全ての責任を負わせることなく、この検討自体を長い目で続けるために重要だからである。